メラニーは行く! SWEET HOME ALABAMA


directed by Andy Tennant

cast :  Reese Witherspoon  Josh Lucas
Patrick Dempsey  Candice Bergen
Mary Kay Place  Fred Ward
Jean Smart  Ethan Embry
Melanie Lynskey
('03 07 11)



 ニューヨークの新鋭デザイナー、メアリーは、初めてのファッションショーも大成功で、おまけに恋人の市長の息子にプロポーズされて幸せの絶頂! しかし、彼女には隠しておきたい過去が。それは、南部の田舎出身で、おまけに7年も顔を合わせてない幼ななじみと既に結婚しているということ! かくしてメアリーは、どーしよーもない現夫に離婚届にサインしてもらうために故郷アラバマへ向かうのであった。

 リース・ウィザースプーンと言えば、勘違い女まっしぐらのイメージが強いんだが、実はその路線も 『ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!』 とか 『キューティ・ブロンド』 ぐらいだということに気がついた。日本の映画会社もその路線に便乗して今回の邦題をつけたに違いない。ポスターのコピーも、「過去は女の燃えるゴミ」。是非是非痛快に勘違いっぷりを発揮してもらいたいところなのだが、どうもそうはいかないのだ。どうやら、都会で故郷の心を忘れたメラニーがアラバマに戻って昔を懐かしみ、リッチな未来の旦那様候補と、やっぱり好きな「現」夫の間で揺れ動いちゃったりする、マジメなラブコメを目指してるんである。原題からして結末はバレバレなんだから、そんなヒネリのない話でどーするのさ。んで、「現」夫ってのが一途にメアリーを7年間愛してたり、この市長の息子ってのがまた優しくて包容力のある男だったり。あぁメラニー、あなたは何て幸せ者。故郷の仲間を傷つけたり、婚約者に過去を隠していたことがバレても、そんなにアッサリ許してもらうなんて。結局、痛快な勘違い女というよりもリアルに勘違いしちゃってる女なので、観てて腹立たしいことこの上ない。確かにリース・ウィザースプーンが演じるとこんなバカ女でも許してあげる気になるかもしれないが、それにしても、左口角をちょっと上げてスマイルっていうワンパタ演技。いい加減なんとかならないのか?

 メアリーの婚約者の母親(ニューヨーク市長)を演じるのはキャンディス・バーゲンだが、いいぞ! 『デンジャラス・ビューティー』 でもやってた 「イヤミなキャリアおばさん」 を痛快に演じてます。ミエミエのラストで、彼女はメアリーに殴られるのだが、むしろキャンディス・バーゲンがわがまま女のメアリーを殴るべきシーンである。アナタならそこで殴れる! と誰もが思うはずだ。始終散漫でダラダラしてるこの映画で彼女がスクリーンに出てくると、まるで救いの女神のようにピリリと引き締めてくれる。いっそのこと、キャンディス・バーゲンとリース・ウィザースプーンの嫁姑モノにすればよかったのに。うん。それならかなり面白く観れそうじゃないか? ウィザースプーンもそろそろ新路線を開拓しないと先行きが怪しいもんな。





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