スウィングガールズ SWING GIRLS


監督 : 矢口 史靖

出演 :  上野 樹里  平岡 祐太  貫地谷 しほり
本仮屋 ユイカ  豊島 由佳梨  竹中直人
白石 美帆  渡辺 えり子  小日向 文世
谷 啓  田中 要次  徳井 優
木野 花  大倉 孝二  西田 尚美
高橋 一生  福士 誠治  江口 のりこ
眞島 秀和  三上 真史
('04 09 26)



 「史靖」 と書いて 「しのぶ」 と読むとは知りませんでしたが、矢口史靖監督、明らかな2匹目のドジョウ狙い。1匹目の 『ウォーターボーイズ』 は観てませんが、3匹目はどうするつもりでしょう。また竹中直人が指導するんでしょうか。フラメンコ・ババァズなんてどうでしょう。うーん。イマイチ。

 のっけから困った。集団でうるさい女子高生と言えば、現実の世界だろうが映画の世界だろうが、自分が一番出くわしたくない人種である。全員蹴飛ばしてやろーかと思う勢いのところに、紅一点ならず黒一点の中村(平岡祐太)の、また蹴飛ばしたくなるくらい情けないこと。おまけに、自分が吹奏楽出身なもんだから、あまりに都合よく上手くなっていくスィングガールズに、ありえねーよのツッコミの嵐。まぁ、そうウルサイこと言っちゃいけない映画なのかもしれないけど、その、上手くなっていく過程が面白いところじゃないの? リズムも指もなーんもなっちゃいなかった生徒達が、ある日突然上手くなったみたいじゃん。そういう、苦労のないサクセスストーリー見せられてもなー。

 脚本も書いた矢口監督、笑わせる小ネタのデティールには随分凝ったみたいだけど(道行くおばぁちゃん、最高)、話の展開の詰めは甘過ぎます。スウィングガールズの上達ぶりのみならず、全てがゴーイン。楽器(ジャズ)の魅力にハマっていくのも説得力ないしなぁ。まぁ、高校生なんてそんなに深く考えないで色々熱中するかもしれないけどね。一つ面白かったのは、ジャズのノリがうまくつかめない(というよりか、楽器が上手く吹けないようにしか見えないが)主人公達が、ジャズでは拍のウラを感じるんだと言われて、日常のちょっとした音からジャズの感覚をつかんでいくところ。そのアイディア、いいね。確かに、感じ方一つで何でもジャズにできちゃうからね。

 竹中直人がかなりウザかった。最初は影が薄いものの、予想通りストーリーに関わりまくり。指揮しながらハッスルするあたり、もうやめて〜。主役の女の子は大して面白くなかったが、メインの残りの3人はなかなか良かった。内気でメガネという、ありがちな設定の関口が一番カワイイように見えましたが。白石美帆は意外にもイイ味を出し気味。大倉孝二、いいぞ!

 最後の音楽祭でのスウィングガールズ・アンド・ア・ボーイの演奏は、実際に猛練習した彼女達の吹き替えなしの演奏。そう思って聴くと、随分頑張ったんだなー、と、ストーリーとは関係ないところで感心してしまう。他に、音楽祭に出場している他の高校の吹奏楽部で、ファゴットが4人もいるところがあってビックリ。高橋一生の学生指揮は、いるいるって感じの素人っぽい指揮で面白かった。‘目指せ第2のブッキー’こと、平岡祐太のピアノはほとんど聴こえないけど、いいの? まぁ、大円団で終わるのが目に見えているラストなので後味はいいんだが、最後に大好きな 『SING, SING, SING』 が聴けて後味アップ。選曲のセンスはグーです。





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