トゥームレイダー TOMB RAIDER


directed by Simon West

cast :  Angelina Jolie  Iain Glen
Noah Taylor  Daniel Craig
Chris Barrie  Julian Rhind-Tutt
Leslie Phillips  Jon Voight
('01 10 25)



 「脚本が話にすらなってない」とか、「全然キャラクラーがない」とか、「ハムナプトラとバットマンのパクリだ」なんて言ってはいけない。ましてや「アンジェリナー・ジョリー以外の影が薄すぎる」だなんてのはもってのほか。だって、『トゥームレイダー』はアンジェリーナ・ジョリーがカッコイイと思うだけの映画なんだから。

 監督がサイモン・ウェストだ(『コン・エアー』『将軍の娘』)。演出がどうとかいう次元のワケがない。この人が監督の映画を観に行くと決めた時点で、その映画にストーリーを求めてはいけない。派手なアクションを楽しめばいいのだ。けれど、さすがにアンジーをかっこよく見せなければいけないことぐらいはわかっていたみたいね。冒頭、ロボットを相手に、ジョリー扮するララ・クロフトが銃2本だけで挑んでいくシーンのかっこよさ!そして、ララ・クロフトは豪華なお屋敷に住む御令嬢なので、吹き抜けのリビングの空間を最大限に使って空中を舞うエクササイズだ。まるで体操選手のような優雅な動き。いや、むしろサーカス団員。その最中に侵入する敵。天井の隅っこにはりつくように隠れるララ。おまえはスパイダーマンか!とツッコミを入れてしまう。

 実際、ジョリーがこの役をやらなければホンットにつまらん映画だったろうな。『17歳のカルテ』でオスカーをゲットしてからの彼女は、今が旬。アクションもこなせることを証明して、あれ?このままニコラス・ケイジみたいに、オスカーの後はバカ作品ばっか出る、なんてことがないといいけど・・・。

 『トゥームレイダー』は、人気ファミコンゲームの映画化だ。映画の前のCMで、ゲームのトゥームレイダーの宣伝もしていたのだが、驚いたことに、映画の中のララ・クロフトそのものなのだ。まるで、映画をゲーム化したんじゃないかと思うくらい。多分、この映画にゲームファンの人は興奮しただろう。楽しんだだろう。満足しただろう。いや、僕も興奮はそれなりにしたんですけどね。ジョリーの見せ場が前半に集中しちゃっては、ラストの盛り上がらないことこの上ないわけで。

 映画も中盤にさしかかったところで、すごくハムナプトラ・テイストになるシーンがある。あぁ。パクリまくりだー、とか思ってると、そのトドメにとんでもないことが起こった。6手観音みたいなデカイ仏像がおもむろに歩き出すんである。これは笑った。この監督にこういうセンスがあったのか。と思ったら、ウェスト監督、このシーンは嫌いらしい。曰く、全然面白くない特撮だったとか。なーんだ。やっぱり一生バカなアクション撮ってて下さい。ちなみに、ララの頭脳となるブライス役は、『シャイン』で主人公のデヴィッド・ヘルフゴッドの少年時代を演じたノア・テイラーだ。(あの、メガネかけてお父さんに怒られる役)。





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