バレンタインデー VALENTINE'S DAY

 

directed by Gary Marshall

cast : Jessica Alba  Kathy Bates

Jessica Biel  Bradley Cooper

Eric Dane  Patrick Dempsey

Hector Elizondo  Jamie Foxx

Jennifer Garner  Topher Grace

Anne Hathaway  Carter Jenkins

Ashton Kutcher  Queen Latifah

Taylor Lautner  Geroge Lopez

Shirley MacLaine  Emma Roberts

Julia Roberts  Bryce Robinson

Taylor Swift

('10 02 20)

 

 

 恋人たちが愛を確かめ合うバレンタインデーの1日の間に、ロサンゼルスで繰り広げられる数々の愛の物語を群像劇形式で描くデートムービーで、その恋人たちを演じるのがジェシカ・アルバ、ジェシカ・ビール、ジェニファー・ガーナー、アン・ハサウェイ、クィーン・ラティファ、ジュリア・ロバーツ、キャシー・ベイツ、シャーリー・マクレーン、テイラー・ロートナー、アシュトン・カッチャー、トファー・グレイス、ブラッドリー・クーパー、パトリック・デンプシー、ジェイミー・フォックスなどなど、ハリウッドスター達がこれでもかと出演しているのが最大の見所の本作。似たようなオールキャストのデートムービー、『ラブ・アクチュアリー』 が結構楽しめたクチだったから今回も楽しめるんじゃないかと思って観に行ったら、全っ然面白くなかった。現実にはありえないでしょうと誰もがツッコむ、ある種ファンタジーに近い美男美女カップルの予定調和なロマコメには比較的ハマりやすい方なのだが、それでも共感できるエピソード、一つもナシ。というか、共感できるほどちゃんと描かれてるエピソードが一つもない。監督のゲイリー・マーシャルは 『プリティ・ウーマン』 をヒットさせたロマコメ監督なので、この手の話は得意なのかもしれないが、それ以前に登場人物がこんなに多い映画を演出できるような人じゃないでしょう。せめてシャーリー・マクレーンとヘクター・エリゾンドが演じる年季の入った夫婦の愛の形くらいには共感できるんじゃないかと思っていたが、最後の方で1958年のマクレーン主演の映画、『HOT SPELL』 が墓地で上映されるのをエリゾンド演じる夫が観ているという、何だかよく分からない演出に白けてしまった。監督は粋な演出をしてマクレーンへのトリビュートのつもりかもしれないが、僕にはマクレーンのセルフパロディにしか見えず、演出のセンスのなさが思いっきり露呈してたように思う。

 

 そもそもゲイリー・マーシャルの演出は時代遅れで古臭いし(これだけスターが出てるのに表面上の華やかささえ全く感じさせないのもすごい)、脚本は使い古された展開とギャグばかりなので、楽しむとしたら後は豪華俳優たちの演技ということになるのだが、ほとんどの俳優が映画にスターのネームバリューをプラスするためだけとしか思えないような出番の少なさなので、それすら楽しめなかった。ジェシカ・アルバの役なんて誰が演じたってよかったでしょうにと、好きな女優でも何でもないのに気の毒になってくるくらい。キャシー・ベイツも2分くらいしか出番がなくて、何でまたこんな映画に出たのかな。そんな中で一番見せ場が多いのが、元気なだけでクセも面白みもなんもないアシュトン・カッチャーっていうのも謎だ。ロマコメはキャスティングが命でしょうに。かろうじて楽しめたのはロシア語訛りでテレフォン・セックスのバイトをするアン・ハサウェイと、妻子持ちということを隠して自分と付き合っているパトリック・デンプシーに仕返しするジェニファー・ガーナーぐらいだろうか。

 

 ジュリア・ロバーツが軍人っていうのもビックリな設定だが、このキャスティングの中にジュリアがいると、あぁ、やっぱり腐ってもジュリア・ロバーツだなぁと妙な安心感を覚えてしまった。スターとしての輝きは昔ほどではないけれど、大人の女優としての雰囲気が出てきて、グダグダな展開と演出の中でジュリアが登場するとスクリーンがちょっとだけ引き締まるのだ。出演時間が6分しかないのにギャラが一番高いだのと言われていたが、それも無理ないんじゃない?