ズーランダー  ZOOLANDER


directed by Ben Stiller

cast :  Ben Stiller   Owen Wilson
Christin Taylor  Will Ferrell
Milla Jovovich  Jerry Stiller
David Duchovny  John Voight
Vince Vaughn
('02 10 02)



 そもそも、何でこの映画をたのかというと、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』 のベン・スティラーが意外に良かったので(オーウェン・ウィルソンも良かった)、ちょうど密やかに公開されていた彼の製作・監督・共同脚本・主演映画を観に行ってみようという気になったのだ。それに、『バイオハザード』 のミラ・ジョヴォビッチがコミカルな悪役をやってるっていうから、それも楽しみだったんだよね。正直、ミラはもうちょい弾けてくれてもいいかなぁとも思ったけど、こういうノリで観に行った映画が予想以上に楽しめた時って、ホントに楽しい。街を歩いてたら偶然知り合いに会って、一緒にお茶でもしながら盛り上がるような感じかな。映画って出会いなのよー。

 主人公は、3年連続ナンバー1男性モデルに選ばれたトップモデルのデレク・ズーランダー(頭はかなり弱い)。これをベン・スティラーが演じる。『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』 で、ずっと全身赤ジャージにパーマだったベン・スティラーが。今回は(一応)スーパーモデルの役なので、オシャレな服やらカワイイ服やらの着せ替えに多忙だが、これは無謀極まりない。さらに、そのライバルの新星モデルのハンセル役にオーウェン・ウィルソン。それなりにカッコよさそうに見えるウィルソンであるものの、新星にしては老け過ぎだろ! ということで、『ズーランダー』 はキャスティングが既にギャグだ。そしてズーランダーの存在自体がギャグなので、もう何をやっても許されちゃう。だってさ。ズーランダーが謎の組織に洗脳されて、マレーシアの首相を暗殺しそうになるんだよ? (これがメインのプロット) アホ全開です。

 ズーランダーが暗殺組織の手から逃れるために、ライバルのハンセルがいるところにかくまってもらおうとするのだが、二人は犬猿の仲だ。「何で俺のことを目の敵にするんだ?」 と言い合う二人。すると、お決まりで二人が友情で結ばれそうになり、突然マジメなシーンに切り替わるのかと思ったが、ハンセルが 「俺がモデルになりたいと思ったのは、95年冬のモデルだった君を見てからなんだ」 と言う。確信!ここは泣くシーンではない。「こんなヤツを見てどうしてモデルになりたいと思うんだ!」 とツッコミを入れるべきシーンである。いや、ホントに全部アホ。キャスティングの段階でギャグを仕掛けると(それも大胆に)、意外に上手くいくという好例である。

 劇中にはズーランダーが出演しているCMや、雑誌の表紙などが出てくる。当り前だが、スーパーモデルとは思えない色物系多し。こういうのに弱いんだなー、俺。というか自分が着てみたくなる。後、ズーランダーを慕う有名人役で、たっくさんの俳優がカメオ出演。キューバ・グッディング・ジュニア、ウィノナ・ライダー、ナタリー・ポートマン、ビリー・ゼーンなどなど(デヴィッド・ボウイも!)。さらに、ズーランダーの父親はジョン・ヴォイト。兄はヴィンス・ボーン。謎の男にデヴィッド・ドゥカブニー。これを観てると、スティラーってアメリカで人気なんだなーと思う。

 もう公開終了になってしまったけど、これはビデオでも楽しめます(というか、ビデオで十分かも)。正直、スティラーの演出は外すところも多いが、最後のカワイイ笑いで吹っ飛ぶってもんだ。ヒロイン役のクリスチャン・テイラーとスティラーはこの映画でゴールイン。そしてズーランダーのマネージャーを演じるのはスティラーのお父さん。それを知ってるとますます微笑ましくなりますな。みなさんもズーランダーのキメ顔、「ブルー・スティール」をマスターしてみよう。





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